後期研修医募集

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留学便り

日隈 大徳 Hinokuma Hironori

2024年3月より、トロント大学呼吸器外科に留学の機会をいただいております日隈大徳です

トロントはカナダ最大の都市で、さまざまな文化や人種が交わる多様性に富んだ街です。冬は凍えるような氷点下の日が続きますが、夏はカラッとしていて過ごしやすく、都会でありながら自然も豊かで、生活環境に恵まれた素敵な街だと思います。

留学先のトロント総合病院(Toronto General Hospital)は、トロント大学附属の総合病院であり、カナダを代表する先進的な医療機関です。私の留学を受け入れて頂いたDr. Yasufukuは、トロント大学呼吸器外科のChiefであり気管支内視鏡分野における世界的な権威であり、研究室には世界各地から研究者が集まり、日々活発に研鑽が行われています。私は、前任の古賀先生から引き継いだ、ブタを用いた超音波気管支内視鏡(EBUS)の研究に取り組んでおります。ブタの取り扱いは初めての経験で戸惑うこともありましたが、古賀先生のご指導とラボメンバーの支援のもと、プロジェクトを進めることができております。また、共同研究として、Dr. Tsaoの研究室にて肺がんオルガノイドモデルを用いたEGFR-TKIに対する薬剤抵抗性獲得のメカニズム解明にも携わっております。Dr. Tsaoは、肺がんの分子病理学分野で国際的に高い評価を受けており、薬剤抵抗性の一因であるDrug-Tolerant Persister(DTP)状態の解明に精力的に取り組んでいます。肺がんオルガノイドモデルの樹立やSingle-cell RNA sequencingをはじめとした、先進的な研究手法や解析アプローチには学ぶべき点が多いです。Yasufukuラボでの臨床に近い実践的な研究から、Tsaoラボでの基礎的な研究まで、幅広い領域のプロジェクトに取り組むことができ、研究者としての成長の機会に恵まれた素晴らしい環境であると感じています。

留学にあたって子育てや生活環境への不安もありましたが、長男は今ではすっかり現地の同級生となじみ楽しく学校に通っており、長女もDaycareで覚えてきた英語の歌を楽しそうに口ずさんでいます。妻も、元々好きだった料理を楽しみながら、家事と育児に日々奮闘してくれています。臨床で働いていた時には少なかった、家族との時間も十分とれており、子供の成長を日々感じられることの幸せを噛みしめています。この留学生活での経験は、私にとってだけでなく、家族にとっても一生の財産になるでしょう。

この留学を通して得た知見と技術を日本に持ち帰り、今後の臨床および研究活動を通じて、少しでも患者さんのため、熊本大学呼吸器外科のために貢献できるよう一層精進してまいります。このような貴重な機会を与えてくださった鈴木教授をはじめ医局の先生方に、この場を借りて心より感謝申し上げます。

集合写真