教室紹介

熊本県内のすべての病院と診療協力を行っております

教授挨拶

呼吸器外科が診療する疾患は、肺がん、転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍、自然気胸などがあります。その中で最も重要な疾患は当科手術症例の約60%を占める肺がんです。日本人がその一生涯で2人に1人ががんに罹患し、日本人3人に1人はがんで亡くなります。肺がんは年間約13万人が罹患し、年間約7万4千人が死亡する、がんの中では最も死亡者数が多い疾患となっています。肺がんの治療は、手術の他にも抗がん剤、分子標的治療、放射線治療などがありますが、臨床病期Ⅰ-Ⅱ期とⅢ期の一部の症例で最も効果的な治療は手術です。熊本大学呼吸器外科では、早期症例に対する完全胸腔鏡手術から局所進展肺がんに対する拡大手術等、オールラウンドな治療を行っており、手術症例も年々増えています。
呼吸器外科手術症例は全国的に見ても、また当科でも、年々増加傾向にあります。2017年1年間の当科の手術件数では、呼吸器外科手術症例が364件、肺がん手術症例が223件と、肺がん手術件数が200件を超えました。2019年1年間では、呼吸器外科手術症例が324件、肺がん手術症例が204件でした。ただ内訳を見ると、肺がん、非肺がんともに、進行例が多くなってきました。免疫チェックポイント阻害薬投与後の手術症例もあります。高度な手術手技・周術期管理がさらに必要になってきています。

昨年は、新型コロナが世界的に流行し、まだ収まる兆しをみせません。手術症例もそれに伴い減少しました。一方で、新しい試みとして、単孔式肺葉切除を始めたところです。拡大手術から低侵襲手術、それぞれ、発展させていきます。
そのような状況に対しうれしいことに、2010年からは、当科に新しいメンバーがほぼ毎年1~3人加わっています。彼らの将来が楽しみであり、また教育機関としての重責をひしひしと感じるところでもあります。
基礎系分野と連携しながら、研究も積極的に行っています。たとえば、肺がん外科治療は言うに及ばず、抗がん剤・分子標的治療薬など分子生物学的研究の必要な内科治療などはまだまだ伸びしろのある領域であり、また発展が必要な領域でもあり、当科でも積極的に研究を行っています。臨床研究では、JCOG、WJOG、LOGIKなどの多施設共同研究の施設となっており、より良い治療法(または将来の標準治療)の探求に協力しています。
熊本大学旧第一外科、旧第二外科の呼吸器外科グループの諸先輩方のご尽力から引き継がれた呼吸器外科です。皆様のご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げますとともに、熊本の皆様に安全かつ適切な医療を提供出来るよう努力する所存であります。

2021年4月 鈴木実

熊本大学呼吸器外科では

■肺癌・転移性肺腫瘍に対する手術方法

胸腔鏡下手術(肺葉切除、区域切除、部分切除)

当科で最も多く行っている肺癌、転移性肺腫瘍(他の臓器の癌が肺に転移したもの)の手術は、胸腔鏡による手術です。側胸部から胸腔鏡と呼ばれるカメラを挿入し、モニターで肺を見ながら手術を行います。胸腔鏡の傷以外に2−3箇所手術操作を行うための傷ができます。最も大きな傷は3−7cm程度となります。
肺を切除する範囲は、肺葉切除、区域切除、部分切除などの種類があります。実際に行う術式に関しては、病変の場所、大きさ、患者様の状態などを考慮して決定します。

■前縦隔腫瘍、重症筋無力症に対する低侵襲(体の負担が少ない)手術方法

剣状突起下単孔式胸腺摘出術(Single-port Thymectomy)

当科では前縦隔腫瘍(胸腺腫など)あるいは重症筋無力症に対する胸腺摘出術を下図のような剣状突起下(みぞおち)の3cmの皮膚切開のみで手術を行っています。この切開創から二酸化炭素を送気し視野を確保、胸腔鏡と鉗子を挿入して手術を行います。
この方法は、従来の手術方法(胸骨縦切開、肋間からの胸腔鏡手術)と比較し、美容的にも優れ、術後の疼痛も少ない手術です。
2020年3月現在、この術式で40例以上の手術を行なっております。

手術数

手術数のグラフ 2017年

関連病院について

熊本赤十字病院 熊本市民病院 熊本中央病院 熊本労災病院
国立病院機構熊本再春医療センター 国立病院機構熊本南病院
国立病院機構南九州病院(鹿児島県) 済生会熊本病院
玉名中央病院 人吉医療センター

熊本大学呼吸器外科学教室は、熊本県内外の各関連病院との診療協力・研究を行っております。2020年現在、上記病院において当科同門医師により診療・手術を行っております。また、熊本県内のすべての病院と診療協力を行っております。

スタッフ紹介